【三境隧道】
■所在地:群馬県桐生市梅田町〜みどり市東町座間 ■取材日:2004年5月13日・2006年4月17日 ■公開日:2014年3月某日
■平成16年・平成18年と、ここに紹介する「三境隧道」には二度訪れる機会に恵まれた。1回目は昼間、そして2回目には深夜の取材と、実に理想的な現地入りをすることが出来た現場である。かといって、よい取材が出来たかといえば、それは別問題なのだが…。
■そういた具合で、まず最初に訪れたのは、平成16年5月であった。時間は午後5時過ぎであっただろうか。写真でも分かる通り、五月晴れとはいかず、まさに薄曇りといった残念な天候であったのだが、そういった清々しい画は基本的に必要ないジャンルなので、その辺に関しては、余り気にせずに現地撮影を行った。
当地までの道程は、広域基幹林道三境線という名の通り、まさに林道といった状況で、その途中に三境隧道があるのだ。しかし林道としては、どちらかといえばまだ整っておる方だろうか。思えばここより荒れていた林道なんてのは数多く存在しており、そんな荒々しい林道の先に心霊スポット…なんて現場も沢山存在しているし、また訪れたりもした。
道路状況がそう悪くないという事は、単純に行き易いといえる。この三境隧道は、地元の人々の“そっち系の涼”を求める場所として、それなりに耳にする。正式名称ではなく「第3トンネル」といった呼ばれ方の方が馴染み深いだろうか。付近に点在する湖や、ここ以外のトンネルや廃墟などど併せて肝試しする場合も少なくないらしい。
先に「訪れ易い」とか書いたが、それはあくまで林道というカテゴリーの中での話だ。林道という山中の山肌に沿う様な道では、当然ながら落石の危険性は常に伴う。そういったリスクは常に付きまとう事は念頭に置かねばならないし、また落石により現地へ辿り着けない場合も、場合によってはある。
要するに、現実的な意味で、軽はずみで訪れてはいけない現場なのである。
■三境隧道を前にして。
そう古いトンネルではない外観だ。
昼間なので然程不気味さは感じないのだが、林道ということもあり基本的に周囲に人の気配はない。
そんな現地の雰囲気に寒さを感じたりした。
■そんなリスクを顧みることなく、林道を走ったのだが、そのリスク以外に特に恐怖を感じるようなことはなかった。それどころか、暖かくなってきた周囲の空気に、力強く茂り始めた草木の青さに心地よささえ覚えた程である。さすが明るい時間帯の取材といったところだろう。
そんな道中の末、唐突に目の前に目的地の三境隧道が現れた。長さは大よそ800m程であろうか、途中で折れろことのない真っ直ぐなトンネルで、向こう側の坑口も微かに確認できた。
このトンネルは平成元年に完成したそうで、見た目もそれ相応の感じであった。よくある化けトンの様な、あの古めかしいおどろおどろしさは皆無といって良いだろう。ただし、心霊スポットによく有りがちな落書きは幾らか見受けられた。
周囲の明るい時間に、それとは対照的なトンネル内部を眺めた時、私の心境も、それまでの心地よさとは対照的な不安感に襲われた様に感じたのは、恐らく気のせいなのであろう。その後に特に何があった訳でもなく、すんなりと取材を終えたのだから、やはり何事もなかったといって間違いない。ただ、
「夜中に訪れたら、果たしてどうなんだろう」
なんてことを、つい考えてしまったのは、この三境隧道のもつ独特の雰囲気のせいであろう。
そして、それから2年後に、再びこの地に訪れることになった。しかも深夜に…。
■という事で、その深夜の現地も含め、以下に三境隧道の写真を紹介していく。
巡霊者:心霊スポット取材記:群馬県【三境隧道】現地写真
■このトンネルは平成元年に完成したのが、これを見ればわかる。
平成生まれのトンネルなので決して古くはないが、それでも26年もの月日が経過している訳である。
■その歴史の流れに当地は様々な噂が聞かれる様になり、そしてこの写真に見られる様に、心霊スポットに有り勝ちな落書きが見られる様になった。
■因みに深夜の三境隧道はこんな感じだ。
といってカメラのフラッシュや車のライトのお陰で姿が見えるのだが、それがなければ外灯など皆無なここでは完全なる闇であるのは、当然ながら言うまでもない。
■内部に関しては、昼も夜も大差ないのかもしれない。
ただ向こう側の坑口は真っ暗なために目視するのは不可能だ。
実のところ、取り立てて記載するほどの出来事はなかったのだが、妙な頭痛を感じたのを実は覚えている。
もしかすると、同じ様な体験をした人も、中にはいるかも???
■三境隧道に近い位置にある草木湖。
ここでも霊的な噂がない訳でもないのだが、少々薄い感があるので、ここで1枚の写真を紹介するに留めておく。
■この三境隧道に再び訪れたのは、平成18年4月のことであった。先にも書いた通り、深夜の現地入りであった。
そこまでの道中も、当然ながら真っ暗であり、前回に感じた清々しさなんてものは微塵もなく、ひたすらの闇に恐怖心が芽生えるのは必然であった。車のライトがあるからこそ、目前の視界は確保されているが、それを切ってしまえば光源は全くない。とてもじゃないが、それを試そうなんて冗談を実行する勇気は私にはなかった。
暗闇の中、ヘッドライトに浮かぶ三境隧道を目の前に、撮影を開始した。人それぞれに感じ方は違うのだろうが、根本的に小心者の私は、異様な恐怖感を覚えたのは正直に記載しておこう。
「何だか嫌な雰囲気だな…」
そんなことを小声にしつつ、更に追い打ちをかけるかの様に我が身を襲った頭痛…。
こんな頭痛に見舞われた時には、経験上良いことは大抵起きない。下手に長居は禁物であると察し、またトンネル以外に撮影ポイントもそうある訳でもないので、足早に現地を去ったのであった…。
■最終的に、この2度の取材で、特に際立った霊体験をした訳ではない。しかし、何とも表現しづらいのだが、独特の現地の雰囲気に
「機会があればもう一度」
なんてことを、今さらながら企んでしまうのであった。
そんな機会が巡ってきたら、ここに追記していこうと思っている…。