心霊スポット:雪割橋 【雪割橋】
■所在地:福島県西白河郡西郷村鶴生 ■取材日:2014年11月11日 ■公開日:2015年10月某日


■2014年11月、路地裏として初めて東北地方の心霊スポット巡りを行った。その東北取材最初の現場が、ここに紹介する福島県の「雪割橋」である。

 季節は秋の真っ只中という事もあり、早朝の現地の空気はヒンヤリとし、また朝焼けに照らされた雪割橋の姿は何とも美しく、また周囲の紅葉とも相まって何とも言えない爽快感を作り出していた。何だか心霊スポットらしからぬコメントばかりが出てしまうのだが、現地は完全に恐怖感を掻き消すかの様な美しさが、実際に広がっていたのである。

 路地裏初の東北地方取材は、この様な清々しい雰囲気から始まったのであった…。

■冒頭のコメントから察するに、この雪割橋は周辺の雪割渓谷を含め観光名所の要素が強いといえる。その観光のメインといえるのが紅葉となるので、私はそのシーズンのど真ん中に訪れてしまったという事になる。

 …なるほど清々しい訳である…。

 なお、紅葉の見頃は10月下旬から11月上旬との事なので、見頃の最終の姿を見る事が出来たという事になる。何とも得した気分だ。

 そんな雪割橋の心霊スポット的な情報といえば、落差のある橋によく聞かれる「自殺の名所」が筆頭に挙げられる。そこから発展…というか何というか、それに関連した霊の姿の目撃談や、更なる自殺者を招くといった、まあ要するに月並みと言えば月並みな情報な訳である。

 現地案内板によれば、この橋と下を流れる阿武隈川との落差は50m程だという。ビルの高さでいえば15階程だろうか。そんな場所から落ちれば、当然ながら命の保証はない。様々な悲しみの末に、この地を選び身を投じた方々の気持ちを思うと、何とも切なくさせられてしまう。

 そんな気持ちになりながら、欄干から顔を乗り出し下を眺めると、その落差に吸い込まれてしまうかの様な錯覚を味わってしまった。先の現地案内板にも「体が引き込まれるような涼気を満喫」と説明されていたのだが、さて満喫かは疑問だが、確かに感じた涼気に、つい霊的な要因を疑ってしまうのは、こんなサイトを運営し続けている為の悪い癖だろうか。それとも実際に霊が引き込んでいるのだろうか…。

 私が訪れたのは早朝だが、もしこれが例えば夜間であればどうだろうか。明るい時間帯であれば、当たり前の様に視界がきくので、その落差にクラクラしてしまうのは、霊的要素が無くとも当然の事だろう。しかし深夜ともなれば、その落差を目視するのは不可能なのは言うまでもない。目視出来ないのだから、落差に対する恐怖感は多少なりとも軽減するだろう。

 様々な意味で、やはりこの地には深夜に訪れるべきではないと、言わざるを得ないのである…。

心霊スポット:雪割橋

■早朝7時前の雪割橋の様子。
11月半ばの早朝の現地は、さすが東北と思わせる肌寒さであった。
しかも東京から不眠不休での現地入りということも手伝ってか、その寒さが妙に身体に突き刺さる感じであった。


■雪割橋を、まずは様子見で自動車で往復し、次に徒歩で渡ってみた。周囲の空気は秋も終盤という感じで冷たく、思わず肩を縮ませてしまう程であった。また、何やら谷底からも冷たい風が吹いている感じで、橋の中央はやたら寒い。思わず

「霊の仕業?」

なんて考えてしまうのだが、何でも霊の仕業にするのは悪い癖だ。当然ながら、自然現象の成せる業であると考えるのが順当だろう。

 自殺橋に有り勝ちな、自殺防止の為に後付されたフェンスは、この橋には存在していない。なので容易に欄干から下を望むのは可能だし、実際に顔を乗り出して望んだとは先にも書いた。

「橋の下から霊達が手招きを…」

なんて情報も聞いていた様な気もしたが、そんな霊達の姿は残念ながら確認する事が出来なかった。しかし、それは「姿を確認する事が出来なかった」というだけでしかなく、その霊達が存在していないという訳ではない。ひょっとしたら、雪割橋に差し込んだ美しくも力強い朝日に、その淡い姿は負けてしまい掻き消されただけなのかもしれない。そして、そんな淡い姿は、暗くなれば暗くなるほど、見つけやすくなるのかもしれない…。

 そんな事を考えていると、早朝に訪れてしまった事に後悔しつつ、それとは別の心理で、やはり早朝で良かったと思う保守的な自分がいるた。いくら歳をとったとて、臆病な性格は不変なんだなと思い、そんな自分に心の中で苦笑いしてしまったのであった…。

巡霊者:心霊スポット取材記:福島県【雪割橋】現地写真

心霊スポット:雪割橋

■雪割橋の概要の書かれた案内板。
橋の全貌や名称の由来を知る事が出来る。
昭和33年に完成というのだから、私より11歳先輩という事になる。

心霊スポット:雪割橋

■そんな歴史ある橋なのだから、老朽化という現実的な悩みもあるのも当然といえばとうぜんか。
重量制限がなされていることに、現実的な恐怖を覚えなくもない。
…しかし14tなのだから、現時点では大抵の自動車は通行可能だろう。

心霊スポット:雪割橋

■欄干から身を乗り出し…ではなくカメラのみを突き出して撮影。
落差は相当なものだと感じた。
下を覗き込んでクラクラしたのをよく覚えている。

心霊スポット:雪割橋

■橋の向こう側には、朝日に照らされた紅葉が美しく広がり、長旅の疲れを労ってくれているかの様に思えた。
…全くもって心霊系のコメントとは懸け離れしまうのだが、確かにそんな事を思わせてしまう素晴らしい景色なのであった。

心霊スポット:雪割橋

■こうして眺めると、確かに欄干は低く、これなら容易に乗り越えられるだろう。
しかし、やはりそんな事を実際にしてしまってはいけない。
その「してはいけない行為」を行ってしまった人々が…この橋には大勢いるのだろうか?だとしたら、こんな朝焼けに美しく染められた雪割橋も、何だか恐ろしくも悲しげな姿に見えてきてしまう…。


■結局のところ、この橋を取材して何らかの明確な霊体験はなく、ただただ美しい紅葉と、秋の終盤の冷たく澄んだ空気と、あとは落差の涼気を感じるまでであった。「深夜であれば〜」とは先に書いたが、面白いところで

 深夜に橋の中央でクラクションを鳴らし、その後に橋の袂の自販機で
 コーンスープを購入して飲むと、黄色いはずのスープが真っ赤になる

という非常に具体的に解説された噂をネットで見たことがある。それを試せなかったのも残念であった。この強烈かつ、あまり聞いた事のない現象には強烈な魅力がある。是非実際に見てみたい。味も変わってしまうのか?血の味なのか?業者のミスでトマトジュースが入っていたのか?それともれとも、やはり霊の仕業なのか?

 思う事は様々なのだが、いつぞやにチャンスが訪れたのなら、そんなチャレンジを絶対にしてみようと思うのであった。間違っても夏に訪れてはいけないのは言うまでもない。
 そんな事で、東北初の取材として訪れた雪割橋に、そんな魅力的な宿題を残しつつ、福島に点在する更なる心霊スポットを目指すのであった…。


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