心霊スポット:化け地蔵 【化け地蔵】
■所在地:栃木県日光市匠町 ■取材日:2004年5月13日 ■公開日:2014年10月某日


■今はなき「怨念地図」の制作に携わり、その際に関東各所の心霊スポットを訪れた2004年の春。それから10年の月日が経過し、ようやく栃木県での最後の心霊スポットを紹介するに至った。仕事の遅さに改めて情けなさを感じるのだが、それでもなお心霊スポット各所を巡り、その増えるばかりのストックに重圧を感じつつ、過去に訪れた心霊スポットを紹介して行くのである…。

 とにかく、以下より2004年に訪れた栃木県日光市の「化け地蔵」の現地レポートを紹介して行く。

■観光地としての印象が非常に強い栃木県は日光市。
 私も小学6年の夏に林間学校において訪れており、その際に当時から“自殺の名所”といった具合で名を轟かせていた華厳の滝を目前にし、心霊好きな私は思わず感慨に浸ってしまったのを、30年以上前の事ながら克明に記憶している。

 因みにだが、現在において華厳の滝での自殺者は殆どないそうであることを、ここに明記しておきたい。

 その華厳の滝から流れ落ちた水が進む川を「大谷川(だいやがわ)」という。その川を下ると、やがて「憾満ヶ淵」に行き着くき、そこに、ここで紹介する「化け地蔵」と呼ばれる地蔵群があるのだ。

 正式名は「並び地蔵」であり、化け地蔵とは別名というか何というか…。簡素に説明すれば、大量の地蔵の数を数えてみると、数がその都度変わってしまうそうで、そんな不思議さから化け地蔵と呼ばれる様にもなったそうだ。
 その辺の経緯は、現地の解説版に書かれていたので以下に紹介させて頂く事としよう。



 並び地蔵(化け地蔵)

 慈眼大師天海の弟子約百名が「過去万霊・自己菩提」のために寄進したもので、列座の奥には親地蔵が置かれていた。霊比閣に一番近い、やや大きめの石地蔵は「カンマン」の梵字を書いた山順僧正のものである。
 明治35年(1902)の大洪水で、親地蔵と他の地蔵のいくつかが流された。また、参詣者がこの地蔵の数を数えてみると、そのつど数が違うというところから、化け地蔵とも呼ばれるようになった。



 上記の解説版によれば、過去に洪水により地蔵が流されてしまったという歴史があったのが分かる。その辺が作用して数が変化するのでは…といった気にもなるのだが、やはり大量の地蔵を数えるうち、数え漏れ等により変化してしまうのが実際のところなのだろう。10体やそこらの数ではそう間違う事はないだろう。しかし、さすがにこれ程の数であれば、途中で

「あれ?何体まで数えたっけ???」

なんて事に、よっぽど集中していない限り起こり得るのであろう。しかし、それでもなお、現地の苔むした地蔵群を目の当たりにすると、

「ひょっとして実は本当に数が変わってしまうのでは?」

といった雰囲気を作り出しているのも事実なのである…。


心霊スポット:化け地蔵

■地蔵尊の数が半端じゃない。
これを全て数えるのは骨の折れる作業だ。


■現地に付き、実際に数を数えようとも考えたのだが、その数が数である。何度も数え、その数の変化を確認する時間はさすがにないので、その辺は遠慮させて頂いた。その分、現地の苔むした地蔵や、その近くを流れる大谷川および憾満ヶ淵の独特の雰囲気を、じっくりと楽しませて頂く事とした。

 なお、この化け地蔵のある憾満ヶ淵についても、現地にて解説板があったので、以下に紹介しておこう。



憾満ヶ淵(含満ヶ淵):かんまんがふち(日光市指定名勝)

男体山から噴出した溶岩によってできた奇勝で、古くから不動明王が現れる霊地といわれる。川の流れが不動明王の真言を唱えるように響くので、晃海大僧正が真言の最後の句の「カンマン」を取り「憾満ヶ淵」と名付けたという。
晃海はこの地に慈雲寺や霊庇閣、不動明王の大石像などを建立したもので、往時は参詣や行楽の人々で賑わった。元禄2年(1689)松尾芭蕉も、奥の細道行脚の途中立ち寄っている。
「含満」とも書くので「がんまん」と濁って読まれることが多いが、命名の由来から考えると、「かんまん」と澄んで読むのが正しい。



 上記に書かれた内容から、ここが「かんまんがふち」という読みが正解であるのが分かる。「がんまん」でも「かんばん」でもないのである…。

 また、化け地蔵の解説板において「梵字」というのがあったが、その辺も例えばGoogle等で検索してみても良いと思う。そしてこのページでは、解説板での個所を止むを得ず「カンマン」と表記したが、実際には梵字にて解説板には書かれている。それも「梵字 カンマン」で検索すれば、実際に見る事が出来るので、興味のある方は確認して欲しい。

 それにしても、不動明王まで行き着くとは…。お地蔵様の数を数えながら

「ん〜合わないぞ〜?」

なんて悠長に面白がっている場所ではなかった事に、今さらながら恐れ入ってしまうのである。事前のチェックも大切な事なのだが、後から思い起こしながら復習するのも、また重要な事なのだと実感する次第なのである…。

巡霊者:心霊スポット取材記:栃木県【化け地蔵】現地写真

心霊スポット:化け地蔵

■正式な名称は「並び地蔵」だそうだ。
因みに写真左側に見える腕は私ではなく、ここを紹介して下さったやっくん氏の腕だ。
なお、この解説板に書かれている内容は、先に述べた通りである。

心霊スポット:化け地蔵

■やはり地蔵尊の数は圧巻である。
もはやその印象しかない程に凄かった。
霊的云々ではなく、ただひたすらの圧倒的な数に驚かされた。

心霊スポット:化け地蔵

■周囲の自然の豊かさと、永遠に続くのかと思えてしまう程のお地蔵様や石碑に、何とも言えない和の神秘を感じさせる。

心霊スポット:化け地蔵:憾満ガ淵

■憾満ヶ淵の姿も、またこれ美しかった。
しかし、地蔵尊の圧倒的な数の印象が余りにも強かったので、こちらの記憶はそれ程でもないのが正直なところ。
しかしながら、古くから不動明王が現れる地であるそうだ。
今さらながら現地を思い出し、何とも言えぬ気持ちが芽生えるのである。

心霊スポット:化け地蔵:憾満ガ淵

■本文中に紹介した、現地を知る上で実に役に立つ有難き存在の解説板だ。
とりあえずでも撮影して、後々に役立てる手法は私の常套手段である。
しかし、その手法では限界があるのも事実。
後から復習も大切だが、やはり事前に調べ上げるのがベストなのではある…。


■最後となったが、この化け地蔵を紹介して下さったのも、今はなき「異界への招待状」の管理者であったやっくん氏だ(先の写真に氏の腕が写っているのはご愛嬌)。

 時を経て、まさかサイト運営を辞めてしまうとは思っていなかっただけに、未だ寂しさが込み上げてくるのが正直なところだ。

 2014年現在、今後の取材先は福島か富山・石川(要するに北か西かといった感じ)を考えているので、栃木に訪れる機会はないかもしれない。しかし、もう一度この化け地蔵のある憾満ヶ淵に訪れ、不動明王の存在を感じながら現地を感じたいという気持ちは大いにある。動画撮影も良いなぁ…。

 そんな時が訪れた際には、やっくん氏にご一報したいと思うばかりなのである…。

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