【千駄ヶ谷トンネル】
■所在地:東京都渋谷区千駄ヶ谷 ■取材日:2004年5月3日 ■公開日:2012年7月某日
■古くから霊的な噂話が聞かれる千駄ヶ谷トンネル。
余りにも有名過ぎて軽視していた感があったのだが、某書籍の為の取材にて訪れる機会を得た。
因みに余談なのだが、基本的に車を使っての取材なのだが、今回の千駄ヶ谷トンネルは電車での取材であった。何とも妙な気もしたのだが、都内の取材は電車の方が効率が良い気がする。
■という事で、慣れない電車を乗り継ぎつつ、JR千駄ヶ谷駅にて下車し歩く事数分。目の前に目的地の千駄ヶ谷トンネルに到着した。
現地の雰囲気はといえば…さすがに平日の昼間なので車の交通量は当たり前の様に多く、まったくと言って良い程に怖くない。更に行き交う人の多さも、地方の心霊スポットからすれば格段に多く、写真撮影するのが恥ずかしく思える程であった。まぁ恥ずかしいと思いつつも、図太く撮影してしまうのだが…。
また、トンネルの長さは約60メートルといった、非常に短いトンネルである。
人の往来も激しく、また非常に短いトンネルの、果たして何処が心霊スポットと噂される所以なのかと言えば、これまた非常に有名な情報なのだが、トンネルの上部が墓地である所が大きいと思われる。
墓地を移設せず、その下を貫通させて道路を作った訳なのだが、流石に上部が墓地という構造は心地よいとは決して言えない。それは現世の人間にも、先立たれた其処に眠る先人様にも言える。
そんな所から、様々な情報が聞かれる様になったのだろう。
トンネル壁面の落書きから霊が浮き出てくるといった情報や、トンネル上部から女性の霊が垂れ下がってくるなんて激しい情報もある。
また、近所の某レコーディングスタジオでの怪奇現象も有名だ。
レコーディングスタジオなだけあって、レコーディング時での霊現象が良く聞かれる。
要するに妙な声が入り込むといった感じだ。
余談となってしまうのだが、「妙な声」が入っている楽曲として有名な物といえば、やはり岩崎宏美やオフコースの“アレ”ではなかろうか。若き頃に深夜ヘッドフォンで聴きながら、物凄い恐怖を感じていた頃が懐かしいと共に、今では同曲を聴いても何とも思わなくなってしまった自分に、妙な切なさを覚えてしまうのである…。
■写真奥に見られるのが千駄ヶ谷トンネル。
の左手に見える建物が、その筋でも有名と言えば有名な某スタジオだ。
様々な怪奇現象が起きたと噂されるのだが、にしてもトンネルとの位置関係が、こんなにも近いとは驚きであった。
■さて、そんな平日昼間の平凡な日常に、怖さの“こ”の字も感じられないままの取材なのだが、一瞬「どきっ」とした瞬間があった。それは現実的と言えば現実的な部分での怖さなのだが、兎にも角にも
「なんだビックリしたなぁ!」
といった具合で最後には苦笑いといった具合であった。
まず、このトンネルを写真に収めようと、撮影しながら内部に入ろうとした。トンネルの入り口に、何故かは知らないが段ボールやらガラクタやら何やらと、ゴミが纏められていたのである。
それは歩道の約半分を占めていただろうか。不法投棄にも思えたのだが、こんな都心で大胆不敵にもゴミを捨ててしまう人間もいるのだろうか?どちらにしても、邪魔といえば邪魔なのだが、といって通行が出来ない訳ではない。そのゴミを横目にしながら、内部の写真を撮影するべく歩を進めた。
先にも書いたとおり、長さ約60メートルの短いトンネルだ。
撮影自体は5分もあれば終わってしまうので、とりあえずそのままUターンし、入り口へと戻る事にした。
ゴミの山は当然存在したままだ。そのゴミを、特に理由もなく眺めながら歩く。
歩いているのだから、そのゴミの山に徐々に近づく。
「こんな所にゴミを置くとは宜しくありませんなぁ…」
なんて思ったか口にしたかは覚えていないが、まぁ要するにあまり良い気分ではなかったのは確かだ。そんな気分でゴミを見ていると、何やら「もぞもぞ」と動いているのに気付いた。
(あれ?なんか動いているぞ…気のせいかな?いや気のせいじゃないぞ…)
そんな事を考えつつ近づいてみると、やはり確実に動いている。
(ありゃ〜中に猫でもいるのかな〜?)
なんて思いながら、そのゴミの中を「ひょい」と覗いてみると、そのゴミの山の内部には何故か人間が隠れていたのであった。要するに、ホームレスさんの住まいであったらしい…。
まさか人間が紛れているなんて思いもしなかったしで、まさに「どきっ」としたし「なんだビックリしたなぁ!」と口走ってしまってのであった。
心霊スポットに出向いて「どきっ」と出来たのだから、ある意味では本望なのだろう…か?
どちらにしても、そんな現地写真を以下に紹介しよう。
巡霊者:心霊スポット取材記:東京都【千駄ヶ谷トンネル】現地写真
■トンネル入り口の図。
分かり辛いかもしれないが、写真右の歩道の所に段ボールがまとめられていて、その中にホームレスさんと思わしき人物が“ウゴウゴ”と蠢いていたのであった。
■この写真だけでみれば、奥の落書きやら歴史を感じるクラックやらで、何とも言えない雰囲気を感じなくもない。
しかしながら、交通量は非常に多く、孤独感とは無縁で恐怖度は非常に低い。
■クラックが多く入っているのが目に付く。
40年以上前に作られたものなので、致し方ないといえばそれまでか…。
■出口付近の写真。
補修されたと思わしきクラックが目に付くが。それ以外にも無数の筋が確認できる。
何とも神経に触る様な気持ち悪さだ。
■変わり映えのない写真しか撮影できないのが辛いといえば辛い。深夜の撮影ともなれば、尚更辛いのかもしれない。
■という事で、ホームレスさんには驚かされたものの、それ以外では大した恐怖感も覚えないまま現地取材を終えたのであった。
恐怖感こそなかったのだが、やはり“上は墓地”という様を直に見ると、衝撃を受けたのも事実だ。
「うわ…本当だ…」
なんて呟いた記憶が、ある様なない様な…。
兎に角、そんな雰囲気を醸し出しているのが、この千駄ヶ谷トンネルなのであった。