心霊スポット:大中寺 【大中寺:その2】
■所在地:栃木県栃木市大平町 ■取材日:2005年4月28日 ■公開日:2015年9月某日


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■前ページにおいて「油坂・枕返しの間・根なしの藤」に触れたのだから、残すは

・不断のかまど
・東山一口拍子木
・馬首の井戸
・不開の雪隠」

という事になる。
 残りのエピソードの中の「馬首の井戸」の内容が、なかなかエグい。戦に敗れた土地の豪族「晃石太郎」が、この地に逃げ込みかくまってもらおうとしたが、それを拒否され恨みを抱いた。そこまでは良いのだが、その恨みを晴らす為に選んだのは

「自らの愛馬の首を斬首し井戸に投げ入れる」

であった。この発想が実に恐ろしく、考え様によっては意味不明でもある。とにかく常軌を逸している行為であるのは間違いない。

 こんな恐ろしい出来事の末、案内板によれば井戸の底から馬のいななきが聞こえて来るそうだ。また他には、夜な夜な馬の首が井戸の縁から顔を覗かせる様が目撃されたりもするそうだ。最終的に動物霊という事になるのだが、どちらにしても人間の感情の矛先を動物に向けるのは頂けない。現代であれば動物愛護団体の格好の餌食だろう。

 また、土地の豪族「晃石太郎」に関連しているのが、「不開の雪隠」のエピソードだ。この晃石太郎の妻が、ここにある雪隠に身を隠し、そこで自害してしまったのである。以降、その雪隠が開けられたことがないそうだ。いわゆる「開かずの間」的な内容であり、これまた心霊関係の話題によく見られるものといえる。

心霊スポット:大中寺:不断のかまど

■不断のかまど
ある修行僧が、かまどの中に入って居眠りをしていると、それとも知らず寺男が火をたきつけたため焼け死んでしまった。それ以来このかまどには火を絶やさなくなった。


■そんな霊的なエピソードが続く大中寺なのだが…この中で「不断のかまど」だけは、霊的なものとな少々離れる様に感じる。というより、この内容は「不慮の事故」系としか思えない。そのエピソードは、上の写真の案内となるのだが、要するに生きながら焼かれて(蒸されて?)しまったという残酷なものであり、確かに恐ろしい内容ではある。恐ろしいのではあるのだが…心霊的な観点からすれば、これは少々外れていると言わざるを得ないのが、残念といえば残念である。

 そんな不断のかまどにおけるエピソードなのだが、このページの写真を見て霊的な“何か”を感じる人は、実は存在するのではないだろうか?というのも、かまどの薪をくべる部分の“焦げ目”というかすすけた部分に、顔の様なものが浮き上がっているのだ。

「単なるシミで偶然のたまものだ」

と言われてしまうかもしれないが、シミという形で現れた霊と思わしき物体の報告例は少なくない。茨城県の「お化け石」や、路地裏では取り上げていないが、神奈川県の橋脚のシミなどが有名なところだろうか。霊がその存在を誇示するその手法としてシミを活用するのは、霊の立場からすれば扱い易い媒体なのかもしれない。

 ここに紹介する写真は2005年のものなので、月日を経た現在に、この様なすすのシミがあるのかは分からない。もし現在していないのならば、もしかしたら非常に良いタイミングで取材できたと言えそうだ。

 なお、このかまどのシミの写真は、当サイト「画像の部屋:心霊写真」の「嫌な写真44」にて別途掲載しているので、興味のある方はご参照頂ければと思う。

巡霊者:心霊スポット取材記:栃木県【大中寺:その2】現地写真

心霊スポット:大中寺:不断のかまど

■この中で修行僧が焼かれたと思うと、霊的云々以上の恐怖感に襲われてしまう。
かまどの内部の焦げ跡が顔に見えるのは、生きたまま焼かれてしまった修行僧の霊なのか?

心霊スポット:大中寺

■東山一口拍子木
寺の東の方のある山で拍子木の音が一声聞こえるとかならず寺に異変が起こると伝えられており、その音は住職にだけしか聞こえないという…。

心霊スポット:大中寺:東山一口拍子木

■当時の表現では拍子木となるのだろうが、それを今風(?)に表現するならば、まさに「ラップ音」となるのだろう。
右上の案内板に書かれた文章からも、その音が鳴った後に怪現象が起きるのが分かる。しかし住職にだけ聞こえるというのが気になるのだが…。

心霊スポット:大中寺:馬首の井戸

■馬首の井戸という何とも物騒な井戸跡。
左下の案内より、馬の命が奪われ、また残忍な事に斬首した馬の首を、この井戸に投げ入れたのが分かる。
井戸は現在、完全に埋まってしまい、いななきが聞こえそうな雰囲気は残念ながらない。

心霊スポット:大中寺:馬首の井戸

■馬首の井戸
土地の豪族晃石太郎が戦に破れて寺に逃げ込んだとき、かくまってくれないのを恨み馬の首を斬って井戸に投げ入れたが後になって井戸の中から馬のいななきが聞こえたという。

心霊スポット:大中寺:不開の雪隠

■馬の首を斬首した晃石太郎の妻が自害したとされる建物。
雪隠(せっちん)とは、即ち便所の事である。

心霊スポット:大中寺:不開の雪隠

■不開の雪隠
土地の豪族晃石太郎の妻が敵に追われてこの雪隠の中に逃げ込んで自殺してからというもの、開けられたことがないといわれている。


■七不思議の残す所は「東山一口拍子木」だ。これは現代的に表現すれば、まさに「ラップ音」ではないだろうか。よく聞かれる

「心霊現象が起きる時に聞かれる怪音」

というアレである。ただ残念な事に、その音は案内板によれば住職にしか聞こえないとの事。という事は、それをいくら頑張って張り込んでいても、その音を聞くことが我々には不可能という事になる。実に残念な事であるのだが、先の平野威馬雄「お化けの住所録」によれば

「駅前の雑貨屋のおばさんも不思議な音を聞いた」

と本文中に記されている。鼻から諦めることなく決めつけず、何事もチャレンジという事である。しかしながら私が訪れた際には、このラップ音は聞こえてはこなかった…。

 そうこうしつつ、この大中寺の七不思議の各ポイントを見終えた。お寺という限られたスペースにあるので、全てをくまなく撮影したとしてもそう時間は掛からず、その所要時間は約30分程であろうか。サクッと見学できるので、近くにお立ち寄りの際には訪れたい不思議スポットである。

 当然ながら、深夜に肝試し目的で訪れるのを推奨している訳ではなく、観光として、明るい時間帯に訪れるべきだというのは、もはや言うまでもない事である。

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