【畑トンネル:その3】
■所在地:埼玉県飯能市 ■取材日:2001年4月21日 ■公開日:2001年5月某日
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■不自然に生えた樹木に違和感を覚えつつ、反対側の坑口に辿り着くいた。すると、その樹木はそこに生えていた訳ではなく、結果そこに辿り着いてしまったのだと、近くに来て理解した。要するに、坑口付近で崩落が起き、土砂と共に樹木がそこになだれ落ちて来てしまった訳である。これはなかなか見ごたえのある様であった。思わず
「おおスゲー…」
なんて話を同伴者としながら盛り上がっていたのをよく覚えている。
また、この土砂崩れ加減からすると、おそらく車での通行は厳しいものになるのは間違いない。というか4輪の車ではれば、ほぼ不可能だろう。どうやらこの土砂崩れが原因で、この道路は廃道となったらしい。
そんな見応えのある反対側の坑口は、天候のせいで入口同様にジットリとしており、不気味さは入ってきた側より更に増していた様に感じた。更にトンネルの抜けた先は森の中となっており、否応なしに薄暗さも3倍増しといった感じで、そういった要素も不気味さを増す大きな要因となっていた。
■イヤな光を反射させる外壁の図。
シミもイヤであります。
■見事なまでの土砂崩れを目前にし、しとしとながら雨模様の当日の空を眺めていると、ある種の不安がどうしても横切ってしまう。
「更なる土砂崩れが起きるのでは?」
そんな事が脳裏にホンの少しは横切ったが、実際はあの程度の降水量で斜面が崩れ落ちる事はないだろう。実際にこの取材時に、そういった恐ろしいアクシデントはなかった事は先に書いておこう。
そういえば、この畑トンネルにおける霊的な噂として「人面犬」の存在は記しておかねばなるまい。思えば昔、「人面〜」といった類のネタが流行った時期があった。その最たるものが「人面魚」ではなかろうか。あの鯉の頭部が見事なまでに人の顔になっていた映像や写真を記憶している人も多いだろう。またインターネットの発展した現在では、その画像を簡単に見る事が出来る。ただ、あの顔を見た時
「人面というより猫面?」
とツッコミを入れたのは、きっと私だけではないだろう…。
その人面(猫面?)魚の話はさておき、人面犬の噂は畑トンネルはもとより日本各地で噂になっていた様に記憶している。このブームを経て、先の人面魚が登場したと個人的に認識しているのだが、それは恐らく間違いない事だろう。
どちらにしても、この人面犬の噂を聞いた時、真っ先に思い起こしたのは、つのだじろう氏の代表作「うしろの百太郎」に登場する「ゼロ」という犬だ。我が家において大人気のキャラクターであり、またその犬とは余りにも懸け離れた言動に、思わず笑ってしまった事も少なくない。このゼロを人面犬と聞いて思い出したのも、恐らく私だけではないはずだ。
そんな事から、この人面犬の元ネタはつのだじろう氏であると思っていたのだが、人の顔をした犬の歴史は、どうやらもっと深いらしい。ウィキペディアによれば、少なくとも江戸時代の文献に、それらしい事が掲載されているそうなのだが、それを今さら調べてもな…といった考えも正直ある。なので、人面犬のネタはこの辺りまでとしておこう。どちらにしても、畑トンネルにおける人面犬の情報は、簡単に説明すれば、車がトンネルを走行していると、人の顔をした犬が横切るといったものである。因みにその犬の毛色は白だそうで、その辺もゼロと同じなのは単なる偶然なのかどうだか…。
どちらにしても、この取材時に人面犬と出くわしたなんて事はなかったのは、ここにハッキリと明記しておこう。
巡霊者:心霊スポット取材記:埼玉県【畑トンネル:その3】現地写真
■上で紹介した写真の反対側です。
腐食度はどうやらこちらの方が凄いです。
既にレンガの色は消されており、全く別の色と化しております。
そしてトンネルを抜けた側面は「苔」で覆われております。
■これは、出口付近に無造作に捨てられていた妙な箱です。
そしてその上に見られるのは「雑誌」。
どんな雑誌かは皆様のご想像にお任せしたいと思います。
■これがその「苔」です。
「びっしり」とまでは言いませんが、外壁にたくましくこびり付いております。
■これが崩れ落ち道を塞いでいた土砂です。
雑草などの成長ぶりから、相当以前に崩れ落ちたと思われます。
土砂と一緒に落ちた樹木は、残念ながら枯れてしまった様です。
そして振り返りトンネル出口を眺めると…
■この様な見事な姿をしていました。
入口に比べ、数段凄味を増した面構え。
いやらしく、そしておぞましく滴り落ちる枯れた蔓、黒く変色したレンガ…そして漆黒のトンネル内部と…。
思わず
「おおぉぉぉ〜〜〜」
と、唸り声をあげた瞬間であります。